管理人の書いた、乙女ゲーの二次創作保管庫です。
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(08/27)
(05/22)
(09/26)
(08/03)
(07/20)
(06/28)
(06/10)
(05/26)
プロフィール
HN:
コマツバラ
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーとか映画とか書物を愛する半ヲタ主婦。
このブログ内の文章の無断転載は、固くお断り致します。
また、同人サイトさんに限り、リンクフリー、アンリンクフリーです。
このブログ内の文章の無断転載は、固くお断り致します。
また、同人サイトさんに限り、リンクフリー、アンリンクフリーです。
ブログ内検索
最古記事
(09/13)
(09/14)
(09/14)
(09/14)
(09/14)
(09/14)
(09/14)
(09/18)
アクセス解析
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「つみびとの夜」
月に一度、聖地にもほんとうに暗い闇夜が訪れる。
秘め事を、蒼くあぶり出す月光もなく、星明かりさえ息を潜めるような新月の夜。それがいつの間にか、私と彼との約束になった。
まばゆい日の光の下では、私たちの恋は語れない。月の光にさえ、秘め事を暴き立てられそうなおそれを感ずる。だから、月に一度のこの日を待ちわびるのだ。
表向きは何食わぬ顔を装う日々。私は重い冠を戴き、彼は己の中に満ちる闇のやすらぎを見つめている。女王として、守護聖として。宇宙を護り、育てる重責を担って……。
彼がいなければ、私はきっと自分の肩にのしかかる重すぎる使命に耐えられない……。ほんの数年前、女王候補であった私に、彼は言ってくれた。「覚悟がないのなら、女王になるなど、やめてしまえ」と。迫り来る宇宙の危機を肌で感じていながら、その危機回避のために呼ばれた女王候補に対して、彼は何より個人の意思を重んじてくれたのだ。
人を寄せ付けない、冷たく見える無表情の下に、彼が抱くのは透き通るような闇のやすらぎ……そして深奥でひそやかに燃え続ける紅い情熱。その火をかいま見た時、私は恋に落ちていた。
けれど……私の胸に芽生えた恋とは無関係に、事態は深刻化していった。宇宙を護る白い翼を、すぐにでも受け継ぐ者がいなければ、宇宙がこれまで刻んできた歴史も、命が夢見る未来も、すべてが崩壊する……。
皮肉なことに、崩壊の足音が近づけば近づくほど、私は自分の中で、女王のサクリアが高まるのを感じていた。とうてい抱えきれない、無理だと何度否定してみても、あらがうことなどできないのは、何より私自身が実感することだった。逃れられないその運命を受け入れると決めた時、私は彼に思いを告げることにした。……女王ではない、ただの女の子であるうちに。そうして、彼への思いに、私の少女としての時間に、終止符を打つために。
彼は、私の告白に、驚いたように見つめ返し……ゆるく微笑んだ。
「明日にも、女王になろうというおまえに、そのようなことを言われるとは思わなかった。……もう、運命の輪は回り始めているというのに……」
いつもこっそり見とれていた、形のいい手が伸びてきて、私の頬に触れた。その指先にこもる熱に、思わずからだが震えた。彼はそっと身をかがめ、私の耳にささやきを注ぎ込んだ。
「……運命は変えられぬ。女王になるがいい……。だが、私は罪人になろう。宇宙の女王から、私だけのおまえを盗み取る罪人に……」
初めて知った彼のぬくみと吐息が私を酔わせ、たかぶらせた。
「……私も、私も罪人になります。たとえ許されなくても……あなたをあきらめたくないんです」
こうして、彼の情熱を私は手に入れた。
待ちわびた今日、私は彼に会いにゆく。重い冠を脱いで、白い翼をおろして。夜の底を、自分の足で走ってゆこう。彼はきっと待っている。月の射さない夜に、更に色濃い木の下闇に身を隠して。
広げられる腕は、私のもの。私が投げかけるこの身は、彼のもの。
そうしてお互いの熱に焼かれたなら。その灰からまた羽ばたいて、明日を乗り越えてゆける。この夜さえあれば……。
(終わり)
自分としては、エッセンスのみ抽出した感じです。
今はそうでもないですが、私、アンジェにハマった当初は、
ほんとヤバイほど、闇様、好きだったので。
いつもは、こういうのを、更に練り練りしたり、ねじ込んだりして、
話が長くなってゆくという感じかな?
このエッセンスも、またいつか別の形で、仕上げられたらなと思います。
月に一度、聖地にもほんとうに暗い闇夜が訪れる。
秘め事を、蒼くあぶり出す月光もなく、星明かりさえ息を潜めるような新月の夜。それがいつの間にか、私と彼との約束になった。
まばゆい日の光の下では、私たちの恋は語れない。月の光にさえ、秘め事を暴き立てられそうなおそれを感ずる。だから、月に一度のこの日を待ちわびるのだ。
表向きは何食わぬ顔を装う日々。私は重い冠を戴き、彼は己の中に満ちる闇のやすらぎを見つめている。女王として、守護聖として。宇宙を護り、育てる重責を担って……。
彼がいなければ、私はきっと自分の肩にのしかかる重すぎる使命に耐えられない……。ほんの数年前、女王候補であった私に、彼は言ってくれた。「覚悟がないのなら、女王になるなど、やめてしまえ」と。迫り来る宇宙の危機を肌で感じていながら、その危機回避のために呼ばれた女王候補に対して、彼は何より個人の意思を重んじてくれたのだ。
人を寄せ付けない、冷たく見える無表情の下に、彼が抱くのは透き通るような闇のやすらぎ……そして深奥でひそやかに燃え続ける紅い情熱。その火をかいま見た時、私は恋に落ちていた。
けれど……私の胸に芽生えた恋とは無関係に、事態は深刻化していった。宇宙を護る白い翼を、すぐにでも受け継ぐ者がいなければ、宇宙がこれまで刻んできた歴史も、命が夢見る未来も、すべてが崩壊する……。
皮肉なことに、崩壊の足音が近づけば近づくほど、私は自分の中で、女王のサクリアが高まるのを感じていた。とうてい抱えきれない、無理だと何度否定してみても、あらがうことなどできないのは、何より私自身が実感することだった。逃れられないその運命を受け入れると決めた時、私は彼に思いを告げることにした。……女王ではない、ただの女の子であるうちに。そうして、彼への思いに、私の少女としての時間に、終止符を打つために。
彼は、私の告白に、驚いたように見つめ返し……ゆるく微笑んだ。
「明日にも、女王になろうというおまえに、そのようなことを言われるとは思わなかった。……もう、運命の輪は回り始めているというのに……」
いつもこっそり見とれていた、形のいい手が伸びてきて、私の頬に触れた。その指先にこもる熱に、思わずからだが震えた。彼はそっと身をかがめ、私の耳にささやきを注ぎ込んだ。
「……運命は変えられぬ。女王になるがいい……。だが、私は罪人になろう。宇宙の女王から、私だけのおまえを盗み取る罪人に……」
初めて知った彼のぬくみと吐息が私を酔わせ、たかぶらせた。
「……私も、私も罪人になります。たとえ許されなくても……あなたをあきらめたくないんです」
こうして、彼の情熱を私は手に入れた。
待ちわびた今日、私は彼に会いにゆく。重い冠を脱いで、白い翼をおろして。夜の底を、自分の足で走ってゆこう。彼はきっと待っている。月の射さない夜に、更に色濃い木の下闇に身を隠して。
広げられる腕は、私のもの。私が投げかけるこの身は、彼のもの。
そうしてお互いの熱に焼かれたなら。その灰からまた羽ばたいて、明日を乗り越えてゆける。この夜さえあれば……。
(終わり)
自分としては、エッセンスのみ抽出した感じです。
今はそうでもないですが、私、アンジェにハマった当初は、
ほんとヤバイほど、闇様、好きだったので。
いつもは、こういうのを、更に練り練りしたり、ねじ込んだりして、
話が長くなってゆくという感じかな?
このエッセンスも、またいつか別の形で、仕上げられたらなと思います。
PR
この記事にコメントする