管理人の書いた、乙女ゲーの二次創作保管庫です。
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乙女ゲーとか映画とか書物を愛する半ヲタ主婦。
このブログ内の文章の無断転載は、固くお断り致します。
また、同人サイトさんに限り、リンクフリー、アンリンクフリーです。
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この間から、くねくね道を辿っていた、お話ですw
20000のキリ番、ニアピン賞のスナさんに捧げます。
ご本人のみ、お持ち帰りOKでございます。
んと〜、半パラレルとは、どういうことかと申しますと、
実はチャーリーさんと、オリジナル・ヒロインのお話
なのです。
舞台設定はエトワールですが、半分パラレル、
こんな話も、もしかして、ぐらいに思って頂いた方が、
いいかなってことで。
そういうの苦手かもと、思われる方はさくっとスルー
して下さいませ。
28日、30日に、拍手パチパチして下さった方、
ありがとうございましたv
20000のキリ番、ニアピン賞のスナさんに捧げます。
ご本人のみ、お持ち帰りOKでございます。
んと〜、半パラレルとは、どういうことかと申しますと、
実はチャーリーさんと、オリジナル・ヒロインのお話
なのです。
舞台設定はエトワールですが、半分パラレル、
こんな話も、もしかして、ぐらいに思って頂いた方が、
いいかなってことで。
そういうの苦手かもと、思われる方はさくっとスルー
して下さいませ。
28日、30日に、拍手パチパチして下さった方、
ありがとうございましたv
「看板娘」
現状を一言で言うなら、そんなに悪くないと思う。
自分の中に、そんな力が発現しようとは、夢にも思わなかったが、日々炎のサクリアの存在を、身の内に感ずる。それは、宇宙に必要不可欠であり、強く求められる力。9つのサクリアの中でも、わけても自分の司る炎のサクリアは、若い宇宙には必要だろうと、チャーリーは考えていた。燃え盛るような情熱は、もっと先へ、もっと前へと、人々の歩みを進ませる原動力になる。
「俺らにとっても、新宇宙の住人にとっても、ここはフロンティアやからな」
未踏の地にも、恐れずに歩を進め、新天地を切り拓いて行く。そんな情熱を、フロンティア・スピリットと呼ぶのだと、遠い昔、祖父が話してくれた。ウォンの名を背負った代々の当主たちと、部下の社員たちは、フロンティア・スピリットを胸に、人の住む星という星に降り立ち、営業活動を行って来たのだと。そうして、全宇宙に販売網を持つ、一大財閥へと、成長していったのだと。
祖父の膝の温もりと、穏やかな声音とともに、その逸話はチャーリーの心に残っている。
今の新宇宙も、ちょうどそんな情況にあるのだと思う。
(これから伸びよう、広がろうっていう時期に、守護聖になれたんは、もしかしたら、ラッキーやったかもしれん)
やりがいがあるし、進歩の手応えも、ないわけではない。自分は、恐らく役に立っていると思える日々の中で、それでも時折無性に恋しくなることがある。神鳥の宇宙に残して来た家族や、ずっと一緒に働いて来た仕事のスタッフ、自分の周りにいてくれた人々が、思い出されてならない時があるのだ。
仕事にはシビアだったが、笑うことやにぎやかなことが大好きで、身内の情を惜しみなく注いでくれた両親や、一族の面々。すべて言わなくとも、チャーリーの意図を察して、手足のように動くスタッフ。彼らの存在が、いかに大きなものであったか、今、身に染みてわかる。
新宇宙と同様、チャーリーを囲む新しい人間関係も、未だ発展途上というところである。女王への忠誠と使命で結ばれているとはいえ、聖獣の守護聖たちと、十分な信頼関係が成り立っているとは、言えなかった。旧知の間柄であったとしても、それぞれに強い個性を持つ彼らと、意見が食い違ったり、感覚のずれを感じるたびに、チャーリーはこっそりため息をついた。表面上、人当たりよく接することはできたが、やはり人間関係とは、一朝一夕に築けるものではないと、実感する。
もちろん、だからと言って、投げ出すわけではない。また心のどこかに、「根っから悪いヤツは一人もおらん」という信頼感はある。いつかは、よい仲間になってゆけるということに、疑いはなかった。だが、自分の意図がうまく伝わらなかったり、考えもしなかったような反論が返って来たりすると、以前は当たり前のように周囲にあった、気心の知れた関係が、懐かしくなった。
(はあ、まあ、こればっかりは、しょうがないよな。それに、俺はみんなに元気を与える立場やねんから、こんなことでめげてたらアカン)
そう切り替えるようにしていたが、徐々に気疲れが溜まっていくのは、しようがなかった。いつの頃からか、そんな時の気分転換に、ちょくちょく一人で、アルカディアに出掛けるようになった。砂弥香と出会ったのは、そんな折りのことだった。
カプリコルン広場の賑わいが、好きだった。ぎっちり並んだ屋台の鉄板から、蒸し器から、大鍋から、立ちのぼる食欲をそそるにおい。威勢のいい呼び込み。食べ物や飲み物を前に、飛び交う話し声や、陽気な笑い。それらの中に身を置いていると、肩の力が抜ける気がする。
広場の片隅の、全体を眺め渡せるいつものテーブルで、一息ついていた時だった。
「お一つ、どうですか〜?」
軽やかな声とともに、小さな紙皿が差し出された。はっとして、顔を上げると、黒ぐろとした瞳とかち合った。
「カプリコルン広場に、初お目見え! お酒のアテにもぴったりな、秘伝のだしでじっくり煮込んだスジコンです! どうぞ召し上がってみて下さい〜」
エプロン姿の、すらりとした娘が、笑顔で言った。
「おお、俺、ここの店は全部制覇してるけど、どこの看板娘さんかな? ありがとう」
小皿を受け取り、食べてみると、よく煮込まれた牛スジ肉が、口の中でとろけた。
「うぉっ! ホンマにスジコンや。いや〜、懐かしなあ、久しぶりに食うたわ!」
娘は、目をみはった。
「お客さん、スジコン、ご存知ですのん?」
「おお、モチロンや。しっかし、こんなとこで食べられるとはな。いや〜、ホンマ懐かしいなあ、この味も、俺とおんなじアンタの訛りも」
娘の表情は、驚きから、こぼれるような笑顔に変わった。
「さっきからそんな気がしてたんですけど、お客さんも?」
「ああ、そうや。俺ら、間違いなく同郷やな?」
「ええ! 間違いなく!」
チャーリーと同じ、神鳥の宇宙の商業惑星の出身である娘は、砂弥香と名乗った。聖獣の宇宙に、家族とともに移住して来て三年。懸命に働いて、ようやくカプリコルン広場で、店を開けるようになったのだと、話した。
「ふうん、そしたら、今、スジコン絶賛売り込み中いうワケやな?」
「はい。こっちでは、知られてない料理やし、まず試食してもろたらと思てるんです。いっぺん食べてもらえたら、きっと好きになってもらえるって」
「そやな、これ、ホンマうまいもん。よっしゃ、ちょっと俺にも手伝わせてくれるか?」
「ええっ?」
「同郷のよしみや。それに、アンタんとこの店が繁盛したら、これから、いつでもスジコンが食えるからな。あ、心配はいらんで。俺は、商売には、ちょっと自信あるんや」
ウインクを一つすると、チャーリーは、砂弥香を急かして、店に案内させると、威勢よく声を掛けた。
「こんにちは〜! 試食販売のバイト希望で〜す。あ、その手ぬぐいと、エプロン貸してもらえます? さあ、アルカディアのお客さんに、スジコンのうまさを教えたげましょっ!」
店にいた、砂弥香の家族、母親と弟は、目を丸くした。
「姉ちゃん、この人、誰?」
「ええっと……ええっと……わからんけど、多分強力助っ人!」
勢いに飲まれた母親が、差し出した手ぬぐいを頭に巻き、エプロンを着けると、チャーリーにスイッチが入った。久しく離れていた“商売の現場”が、彼の血を沸き立たせた。
「さあさあ、御用とお急ぎでない方は、足、止めたって! いやいや、そんなに急がんかて、世の中、ちゃ〜んと回るから、ちょっとココ見て! 食べてみて! 本邦初お目見え、本場仕込みのスジコンや! とろっとろに、ほっぺたも心もとろけること、請け合いや! さあ、食べてみて!」
あっと言う間に、広場を行き交う人々を次々と呼び込んで、店の前に人だかりを作ってしまった。
「チャーリーさん、すごい……」
「まあ、ざっとこんなモンや。さあ、売って、売って、売りまくるで〜!」
それからものの二時間程度で、仕込んでいたスジコンは、完売した。
「チャーリーさんのおかげで、売り切れました。ありがとうございました」
砂弥香の母親が頭を下げ、その隣で弟が元気よく言った。
「いや、チャーリーさん、マジすごいし。俺、その客あしらいのテク、盗ませてもらお」
チャーリーは、二人に笑顔で答えた。
「いや〜、ソレも、このスジコンの抜群のうまさがあればこそ、やで。そうやなかったら、あないに飛ぶように売れへんって」
すると砂弥香が、かぶりを振った。
「ううん、私らだけやったら、こんなに売ること、できませんでした。ホンマにありがとう」
「ははっ、そう言うてもらえると、めっちゃ嬉しいわ。おっと、もう、こんな時間か。俺、そろそろ、帰らんと」
「まあ、そうですか。えらい長い時間、お手伝いしてもろて、すみませんでした。砂弥香、チャーリーさんをお見送りしておいで」
「姉ちゃん、頑張れよ〜」
「何を頑張んのよ!」
手を振る弟に、砂弥香はげんこつを振り上げてみせた。
「ホンマに、しょーもないことを……、あ、すみません! えっと、そこまでお送りします」
それから二人は、肩を並べて、ゆっくりと歩いた。カプリコルン広場の出口で別れるつもりが、離れがたくて。もう少し、もう少しと、癒しの園を抜け、ついにはアルカディアの入り口の大門が見えるところまで。
その間に、砂弥香は、問わず語りに、どうして自分たち家族が、聖獣の宇宙に来ることになったのかを、話した。
小さな田舎町で、長年居酒屋を営んでいた父。家族のために、堅実に商売に励んで来た父が、二人の子供を育て上げてから、望んだこと。それは『新宇宙に行って、自分がずっと作って来た料理が通用するか、試してみたい』ということだった。
砂弥香は、来し方を振り返り、噛み締めるように言った。
「家業を継ぐために諦めたけど、父は若い頃、宇宙船乗りになりたかったらしいんです。その夢を諦めた代わりに……。お客さんに出す料理は、絶対に自信の持てるものにしようって、いろいろ工夫したりして来たみたいです」
宙をさまよう視線。複雑な心情が、透けて見えた。
「……それまで、私、父親を父親としてしか、見てなくて……。自分だけの夢を持ってる男の人やったんやって、この時初めて思いました……」
日頃温厚な父が、この時ばかりは、自分の意志を枉げなかったという。話し合いを重ね、家族の理解と協力を得て、計画が動き出した矢先に、父は病に倒れた。発覚した時には、かなり病状は進んでおり、手の施しようがなかった。志半ばにして、父が世を去った、その時から、家族全員で誓った。父の夢を引き継ぎ、叶えようと。
「……亡くなる直前まで、父は『スジコンを知らん新宇宙のお客さんに、俺のスジコンを食べてもらうんや』って、目を輝かせて言ってました。長い年月の間、父は、きっと料理に込めて来たと思うんです、諦めた夢を、お客さんや私たち家族への愛情に変えて……。それが、とろとろ口の中でほどけるぐらい、煮込んだ父の味……。そんな父の味を守りたいし、たくさんの人に伝えたいんです」
語り終えて、ふうっと息を吐くと、砂弥香はチャーリーの目を見上げて微笑んだ。その顔には、清々しく強い決意があった。
自分の中に、その決意に応える思いが、むくりと起き上がるのを、チャーリーは感じた。
(きっと、この宇宙には、砂弥香ちゃんみたいな人が、いっぱいおるんや。夢を、人生を、この宇宙に託す人が……)
両の拳に、自然に力が入る。
(そんで、そういう人を後押しするために、俺はここに守護聖として、いてる。……今、心からそう思える……!)
「えっと……チャーリーさん?」
足を止め、黙りこくってしまったチャーリーを、砂弥香は不安そうに見つめた。
「あの……私、勝手に長話をして、ごめ……!?」
言い終わるより先に、砂弥香は、チャーリーに抱き締められていた。
「ちょっ……! チャーリーさんっっ!?」
砂弥香の狼狽に、まるで頓着することなく、チャーリーは彼女を腕に抱いたまま、くるくる踊り回った。
「いや〜、砂弥香ちゃんっ! 砂弥香ちゃんっ! アンタのお父ちゃんも、アンタもサイコーや! アンタの話聞いて、俺、めっっっちゃ、元気出たわ!」
「はあっ? ええっと、えっと! それはええとして! お願い、下ろして! 目え回るわ!」
するとチャーリーは、砂弥香の足をすとんと地面に着けると、近々と顔を覗き込んだ。
「ちょっ……! 何!?」
あまりの距離の近さに、赤面する砂弥香に、チャーリーは、満面の笑みとともに、言った。
「俺、アンタのこと、応援してもええよな? ていうか、応援させて?」
「………」
気恥ずかしさの頂点に達して、口をぱくぱくさせるだけの砂弥香に、チャーリーは追い討ちをかけた。
「俺、こう見えても、結構頼りになる男やで? せやから“うん”って言うた方が絶対お得やで。な? だから、“うん”って言おうや」
“うん”と言えば、この極限状況から、逃れられる! 頭がショート寸前の砂弥香には、それしか考えられなかった。言葉の代わりに、がくがくと首を縦に振ると、ようやく至近距離から、チャーリーの顔は遠のいた。
「よっしゃ! その“うん”が間違いなかったことを、この先必ず証明したるからな」
指をパチンと鳴らして、屈託なく笑うチャーリーの周囲に、一瞬揺れる炎が立ちのぼっているように、砂弥香には見えた。
(この人って一体……??)
目をみはるような思いとともに、胸が高鳴るのを、砂弥香は感じた。その動悸は、チャーリーが彼女の手を取った時に、一層激しくなった。
「……アンタは、俺に元気をくれた。これって、結構スゴイことやねんで? 見ときや。アンタと、この宇宙で夢を見る、たくさんの人のこと、俺、目いっぱい応援するから!」
(うわっっ! 今、宇宙って! 宇宙って言った! なんちゅうビッグマウス! 大丈夫なん、この人??)
どきどきしながらも、頭の隅では、結構冷静に、砂弥香は考えた。けれど、チャーリーの全身から噴き出す気炎と、輝く瞳は、彼女を圧倒した。
(……ただのビッグマウスやない、この人は……本物や……!)
その判断が、正しかったことを、彼女は後々知ることになる。
月日は流れて。カプリコルン広場の片隅から始まった、スジコンの店は、今やアルカディアのみならず、新宇宙の様々な惑星に店舗を広げるまでになった。
一代で、この居酒屋チェーンを築き上げた社長のもとには、その成功談を聞くために、時折取材者が訪れる。
柔らかな訛りが特徴の社長は、成功の秘訣を問われると、決まってこう答えた。
「恩人がいますねん。カプリコルン広場に、最初に店出した時に、俺に商売の基本を教えてくれた強力助っ人と……その人を連れて来てくれた看板娘と」
それは一体、どういう人たちかと、重ねて聞かれると、社長は、ただにっこりするだけだ。
「それは、言えません。企業秘密、いうヤツですな。でも今の俺があるのは、あの二人のおかげなんで……二人がずっとしあわせでいてくれるよう、母と一緒に祈ってます」
厳重に企業秘密は守られ、それ以上は、余人は誰も知ることができなかった。
もっとも、成功者はこの社長だけではなく、もっとオープンにサクセスストーリーを語れる人物が、新宇宙にはごろごろしていた。取材対象に事欠かないため、そこまで深く追及されなかったというのも、秘密が保たれた要因といえる。
新宇宙では、実に多くの若者が起業し、活発な経済活動を行っているのである。彼らのもたらす活気と推進力は、宇宙全体を明るく、豊かになる方向へと動かしている。
サクセスストーリーの主人公となった若者たちは、口を揃えて言う。
「この新宇宙でなら、夢は叶うと思った。見えない力が、励まして、引き上げてくれるような気持ちになれたから!」
夢と希望を抱く者が、それを叶えられる場所。ここが常にそういう場所であるように、力を尽くしている人物がいることを、彼らは知らない。
「さあ、今日も、あっつい気持ちで、皆を元気にしたんで!」
新宇宙に、今日もたゆみなく炎のサクリアが贈られる。陽気な炎の守護聖は、仲間同士の潤滑油であるとともに、並々ならぬ情熱をもって、職務に取り組んでいる。
人々に、活力と情熱を与える彼の傍には、彼自身の元気の源が、陰になり日向になり、いつも寄り添っている。
時々彼は、愛情を込めて呼ぶ。
「俺の看板娘ちゃん!」
若き女王の下、発展を続ける新宇宙で、お互いの存在を喜びとして、二人はしあわせに暮らしている。
(終わり)
スジコンというのは、牛すじ肉とこんにゃくを、柔らかく煮込んだ料理です。
そのまま食べるほか、お好み焼きやたこ焼きに入れられることもあります。
おいしいですv
実は、スジコンの一瞬前に、”ホルモン”ってのも、頭をよぎったのですが。
ホルモンで、ネオロマに挑むのは、あまりに無謀だと、すぐ気づきました^^;
(スジコンでも、大概な気もしますが)
後、ラブ度が今ひとつとか、いろいろゴメンナサイな作品ですが。
書きながら、ちょっとだけ、私、夢を見ました。
読んで下さる方にも、ちょっぴりでも見て頂ければいいなと
思います。
スナさん、リク、ありがとうございましたv
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