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管理人の書いた、乙女ゲーの二次創作保管庫です。
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乙女ゲーとか映画とか書物を愛する半ヲタ主婦。
このブログ内の文章の無断転載は、固くお断り致します。
また、同人サイトさんに限り、リンクフリー、アンリンクフリーです。
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実は、これは、ヴィクロザ仲間の、ののんさんのお宅のブログで、
とおっても素敵なオスロザ絵が公開されていて、
一同撃沈! 萌えSS投下! という事態が発生したのに、
便乗して書いたものです。(ののんさんのお宅「DAY DREAMー楽園ー」はこちら

謹んで、ののんさんに捧げますV

あ、ちなみにトロワ設定で、ぬるいですが大人描写ありますので、
苦手な方はご注意下さい。

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「厳罰に処す」

 「なん……ですって? ヴィクトールが大怪我を……?」
 第一報を受けた時、ロザリアは目の前が真っ暗になった気がした。
(そんなことって……)
 よろめきそうになるからだを、机に手を着くことで、かろうじて支えたロザリ
アの脳裏に浮かぶのは、つい昨日会ったヴィクトールのやさしい笑顔ばかりだっ
た。
 
 このところ、より頻繁になった霊震のために、アルカディアの市街地は、かな
りのダメージを受けていた。王立派遣軍出身のヴィクトールが、そんな情況を看
過できるはずもなく。崩れてしまった塀の補修や、倒木の撤去など、復旧作業に
積極的に携わるようになったのは、ごく自然なことといえた。
 そうして今日も市街に出向いていたところ、まっすぐ立っていられないほどの
強い揺れがアルカディアを襲った。その揺れのさなか、作業を指揮していたヴィ
クトールを、突如落下して来た大きな看板が直撃したという。
 最初に災害現場に出向く許可を求められた時、危険を心配するロザリアに、ヴ
ィクトールは笑って答えたものだ。
『ご心配には及びませんよ。ああいう現場は、何度となく経験しています。町の
連中がよくわからないままやったら、二次災害を引き起こしてしまうかもしれな
い。俺みたいな人間が指示を出した方が、作業が迅速に、しかも安全に進むんで
す』
 ヴィクトールは、真摯なまなざしを、ロザリアに注いだ。
『今のところ、幸いにも人的被害は出ていませんが。……誰かにとって、かけが
えのない大切な人間を、失わせるわけにはいかんのです』
 過去の過酷な体験に裏打ちされた言葉には、たとえ最愛の恋人の頼みでも、譲
れない強固な意志がにじんでいた。もはや反論の余地はなく、ロザリアは、彼の
身を案じつつも、送り出すほかはなかった。
 つい昨日も、不安を隠しきれないロザリアに、ヴィクトールは、包み込むよう
な笑顔で言った。
『大丈夫ですよ』
『安全には十分気をつけて、俺はあなたの元へ帰って来ます』
 その言葉を信じて、わき上がる不安を何とか打ち消すよすがにしていたのに!
 心配のあまり、腹立たしくさえなって来たが、ロザリアは一つ深く息を吸い込
み、今自分が取るべき行動を考えた。
(ともかく、怪我の状態を確認しなくては!)
 そうして、早鐘のように打つ胸を抱えて、ロザリアはヴィクトールが担ぎ込ま
れたという、市街の診療所へと走った。
 行ってみると、想像したより、小さな診療所だった。受付にいた看護士に身分
と目的を告げると、待合室の長椅子をすすめられた。そうしてロザリアを待たせ
ておいて、看護士は診療所の奥へと消えた。
 実際には数分間だったのだろうが、ロザリアには何倍もの長さに思えるほどの
時間が経って、看護士が戻って来た。
「今、診療が終わったようです。どうぞ第二診察室の方へ、おいで下さい」
 看護士に礼を述べ、走り出したいのをこらえながら、ロザリアは示された部屋
を目指した。黄昏が降りつつある廊下は、照明が点いているにも関わらず、薄暗
く、長く、ロザリアを失望の底へと誘うようだった。ドアを軽くノックすると、
医師と思われる応答があった。
 常にはあり得ないような勢いで、ロザリアがドアを開け放つと、そこに愛しい
男の姿があった。
「これは、ロザリア様。わざわざおいで下さったんですか」
 椅子に掛けたヴィクトールは、驚いたように、ロザリアを見上げた。
(ああ……!)
 恐れていたより、ずっと良いその状態に、心配で張りつめていたロザリアは、
安堵のあまり脱力した。その場に座り込むのだけは、何とか意地でしのいだ。
 しかし、ヴィクトールの逞しい上半身には、痛々しく包帯が巻かれていた。本
人は顔に貼られた絆創膏以外は、常と変わらぬ表情だったが、ロザリアの青ざめ
た顔色を見てとると、落ち着かせるように笑いかけた。
「いや、まったく、大仰に包帯を巻かれてしまいましたが、かすり傷程度ですよ
。ご心配をかけてしまったようで、申し訳ありません」
 それを聞くと、医師は渋い顔をした。
「かすり傷などということは、ありませんよ。脊髄に傷でも付いたら、麻痺が残
る可能性も考えられるんですよ? 看板が落ちて来る時に、街路樹でワンクッシ
ョンあったのと、まあご本人のからだが頑健だったので、驚くほど軽くすんでは
いますがね。とりあえず数日は、こちらで入院して、検査を受けて、安静にして
もらいます」
「先生、それは困ります。俺には、たくさんやらねばならないことが……」
 医師の言葉に反論しかけたヴィクトールを、きっぱりした声音が、遮った。
「いいえ、先生。どうか存分に検査と治療をして下さい。でないと、この人は、
とんでもない無理をしかねませんもの」
「承知しました」
 我が意を得たりというように、医師は頷いた。そして続きの部屋に続くドアを
指した。
「今、病室の準備をしていますので、できるまでそちらの安静室のベッドで、休
んでいて下さい」
「いや、そんな、横になる必要など……」
 なおも医師に言い返そうとするヴィクトールを、ロザリアはきっと見つめた。
「そんな怪我をしているくせに、何を言っているの! 先生のご指示に従いなさ
い!」
 ロザリアの蒼い瞳が、怒りに燃えているのを見て、ヴィクトールはそれ以上の
抵抗をやめた。
「……わかりました」
 そうしてヴィクトールは、ロザリアに付き添われ、横になるために、安静室に
向かった。ドアがパタンと閉まり、二人きりになると、ロザリアは柳眉をつり上
げて、ヴィクトールに歩み寄った。
「ロ……ロザリア様?」
 その気迫に、ヴィクトールが、息を詰めたその時だった。ベッドにとりあえず
腰掛けたヴィクトールの、ダメージの少なそうな胸のあたりを、ロザリアは、そ
の細身にできる精いっぱいの体重を掛けて押した。
「……!?」
 さしものヴィクトールも、不意をつかれて、ベッドに倒れ、のしかかってきた
ロザリアのからだを、何とか受け止める格好になった。
 ロザリアは、倒れ込んだヴィクトールのからだの両脇に、手をついて身を起こ
した。
「ロザリア様……」
 ヴィクトールが下から見上げたロザリアのは……興奮のために赤らみ、瞳は輝
きを放ち、すごみを感じさせるほどに、美しかった。
「どれだけ心配したと……。それなのにあなたは、お医者様の指示に従おうとし
ないなんて……」
 桜色の唇が噛みしめられ、血の色をのぼせた頬が、怒りに震えていた。
「そんなへらず口は……もう……こうして……」
「ロザ……」
 それぞれの切れ切れの言葉が、全部外に出る前に、ロザリアの唇が、ヴィクト
ールのそれを塞いでいた。有無を言わさぬ口づけに、ヴィクトールは、一瞬頭が
真っ白になったが、重ねられた唇の熱さと、ロザリアの瞳から溢れ出した涙を受
け止めた時、全身に沸騰した血潮が行き渡っていくのを感じた。
「ロザ……リア……」
 手を伸ばし、細い腰を抱きしめると、そのまま包帯に覆われた体躯の下に、彼女を巻きこんでいった。絶え間ないキスの合間に、ロザリアは絶え絶えとささやいた。
「だめよ……、安静にしないと……」
 だが、ヴィクトールは、医師の言葉以上に、その注意に耳を貸す気配はなく。
またロザリアも、叱咤する意思を手放してしまった。二人の間に交わされるのは
、もはや吐息と熱ばかりだった。

 
 その後、医師も舌を巻く驚異的な速さで、ヴィクトールは回復した。ロザリア
の献身的な看護の効果が絶大であったことは、言うまでもない。
 すっかり本復したヴィクトールは、また災害現場に、しばしば出向いている。
彼の性分として、どうしても行かないわけには行かなかったからだ。だが、自分
と、作業にあたる人員の身の安全を最優先すること。また決して無理をせずに、
もし体調が不調だったり、怪我をした場合は、医師の指示に必ず従うこと。以上
を、ロザリアに厳命されている。
「もし、それが出来ない場合は……わかっていますわね?」
 ロザリアは、射抜くような目でヴィクトールを見つめて言った。だが、ロザリ
アが言外に匂わせた“厳罰”が、安静室でのできごとに類するものなら、それも
……などと、ヴィクトールは一瞬考えてしまった。そんな考えを、この場面で、
誇り高い恋人に感づかれようものなら、氷のような視線を浴びるのは必至だった

 ヴィクトールは、目を伏せ、胸に手を当てて、言った。
「肝に銘じておきます、ロザリア様」
「ぜひ、そうして頂きたいわ。では、顔を……上げて?」
 促されて目を上げると、潤んだように輝く、蒼い瞳とかち合った。
「気をつけて……いってらっしゃい」
 これまでの生涯で聞いた、もっともやさしく美しい声。ヴィクトールは、足下
から力がわき上がってくるのを感じた。
「はい、行って来ます」
 愛に支えられて、踏み出して行ける、誇りとしあわせが、深くその胸に刻まれ
た瞬間だった。
                              (終わり)




いや〜、オトナな関係にたどり着くのは、まだまだ先だと思っていたのですが、ののんさんの素敵イラストと、あの場に集っていたアンジェ仲間の皆さんのおかげで、突き抜けちゃいましたよ(笑)
ロザリアに押し倒されて、ヴィクトールも本望でしょう!(てか、私が本望だ・笑)
(でも、まだじれったい話も書きたいですV)
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間違えたようです・・・
こんにちは~、コマツバラさん。
コメントはこっちにするものだったんですね!(初めて気がつきました・・・)^^;

さっき、メールで送ったのは本来ここへ送るつもりの文章です。
わたしって、なんてそそっかしいんでしょう・・・。v

「大人な」ヴィクロザを読んで反応したわたしはなぜか「じれったい」ヴィクロザを突発的に書き上げました。
小ネタですから、短いの。
また強制的に送りつけますから、そのときはよろしく~。
では、また^^。
たぬきの糸車 2009/04/09(Thu)14:28:19 編集
無題
>たぬきの糸車さん
あはは、そうだったんですか.
いずれにせよ、ありがとうございますv
後ほど、またメールしますねV

そして”じれったい”ヴィクロザですとな?
なんでしたら、ここのコメントでご披露下さい、
皆さんのお目に触れた方が宜しいですよV
コマツバラ URL 2009/04/09(Thu)15:54:37 編集
うわっ!ヴィクロザVER.だ~!
コマツバラさん、こんばんは!
こっ、これは、あのののんさんの素敵オスロザと同じシチュのヴィクロザですね!?
うわー!素敵ですー!
やっぱり、ロザリアが押し倒す側なんですね!?(そこか)
あああでも、この二人なら、ロザリアが動かないと全然話が進まないような気がします(笑)
だって、このヴィク様、極限まで我慢して我慢して我慢し通しそうなんですもの!(いえ、それはそれでいいんですけども!)
でも私的萌えポイントはヴィク様の「俺はあなたの元へ帰ってきます」ですよ!怪我を軽く扱おうとするヴィク様を叱りつけるロザリアも凛々しくて素敵なんですが、このセリフがもう、「勝手にやってろ」の世界で(褒めてます)、ああちゃんとロザリアの気持ちを分かってるなあ、と…。
大人な二人も捨てがたいですが、私はコマツバラさんのじれったい二人も大好きですvいっそ両方交互に書かれるとかどうでしょう?

糸車さんも小ネタを書かれたとか!
あの、私も読みたいです!
せっかくコマツバラさんが上のようにおっしゃってくださっていますので、ぜひぜひこちらにのせてください!
お願いしますー!
2009/04/09(Thu)20:54:45 編集
無題
る~る~るるる~~~♪
るる~りら~~~るるる~~~~~~♪♪♪(おいおい、おかしなのがでたぞ!)

ちゅうわけで昨夜から頭痛をひきずったまま今に至るののんです!コマツバラさんに感謝感謝の愛の歌を!!!(歌だったんだ・笑)
もう何回読み返したかわかりません。そして読み返すたびに、「ロザリアが言外に匂わせた“厳罰”が、安静室でのできごとに類するものなら、それも……などと、ヴィクトールは一瞬考えてしまった。」の下りで軽蔑の眼差しを恐れるヴィクの変わりに私の鼻の下が30センチ以上伸びるんですがどうしたらいいでしょう…!(知らんがな)
何はともあれ、こんな素敵なお話を誰よりも早く拝読させていただいたなんて光栄です!本当に嬉しかった!ありがとうございました~!






ののん 2009/04/09(Thu)23:04:37 編集
コメント、ありがとうございますv
>汀さん
そおなんですよ〜。包帯に萌えてしまいましたV
そのうえ、漢なロザリアを書けたもので、本人一人でにへにへしてました←(危ないヤツ)
極限までガマン! それもよいですね〜^^ 恋愛も彼にとっては、精神修養の場。己の欲望とぎりぎりまで戦うがいい!

>「俺はあなたの元へ帰ってきます」
ヴィクトールとしては、きっとこの思いは、ずっと持ち続けることと思います。

>いっそ両方交互に書かれるとかどうでしょう?
ご提案、ありがとうございますV そうですね〜、二人の間には、SP2からエトワールに至るまでの間に、いろんな局面があるので、可能かもしれません。また、ぼちぼちと。汀さんに楽しんで頂けるものが書けたら、嬉しいです。


>ののんさん
生歌までご披露頂き、ありがとうございますV
頭痛、大丈夫ですか?
何度も読み返して頂けるなんて、感激です!

そして、こちらこそ、感謝感謝ですよ〜。
ののんさんの素敵絵があったればこそ、突き抜ける
ことができたんですもの。

>私の鼻の下が30センチ以上伸びるんですがどうしたらいいでしょう…!
ヴィクトールは、ロザリアの前では伸ばすわけにはいかないので、代わりに存分に伸ばしといて下さい(笑)

ほんと、ののんさんには、いつも萌え補給させて頂いておりますよ。
また突撃しますので、宜しくお願いしますV


コマツバラ URL 2009/04/10(Fri)00:17:57 編集
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