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乙女ゲーとか映画とか書物を愛する半ヲタ主婦。
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「アンジェリーク・ヴァレンタイン・パーティー 2009」さんの、投稿掲示板に投下したものです。懐かしい女王候補時代の二人のお話です。

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「意欲満々」
 
 パタパタパタ……。廊下の向こうから響いて来る、急ぎ足の足音を、龍族の鋭い耳がとらえた。
「おや、今日も来たようだな」
 パスハは、かすかな笑みを浮かべた。二人の女王候補は、間もなくこの部屋にやって来ることだろう。
彼女たちが、つつがなく試験に臨み、いずれ女王の御座に登るにふさわしい成長を促すことが、自分の使命だと、パスハは心得ている。
 このところ、二人の女王候補は、実にこまめに、自分たちの育てる大陸を視察に行っている。どうやら大陸の民を導いていくことに、強い使命感を抱くようになったようだ。
 最初は、遊星盤に乗るのも、おっかなびっくりだった彼女たちが、ここまで成長したかと、表には出さなくとも、パスハは胸が熱くなる思いだった。
 と、しゅーっと音がして、ドアが開いた。
「こんにちは、パスハさん!」
「おじゃま致しますわ!」
 予想通り、二人の女王候補が、現れた。
「今日も来たのか。二人とも熱心だな」
「ええ! 今日も大陸に行きたいんです! 遊星盤に乗せて下さい!」
 アンジェリークが言えば、ロザリアも声を上げた。
「わたくしも、ですわ。一刻も早くフェリシアに行かねばなりませんの。どうぞわたくしの方を、先にして下さいませ」
 「ちょっと、ずるいわ、ロザリア。私が先よ!」
 「いいえ、わたくしよ!」
 二人の間で、ばちばちと火花が散った。このライバル心が、またお互いの成長を促すに違いない。
そう、パスハは確信したが、とりあえず遊星盤の操作は、一人ずつ行わなくてはならないので、この場を収める必要があった。
 「女王候補たるものが、何と言う落ち着きのなさだ! そんなことでは、遊星盤の操縦を誤りかねん。今日はもう帰るのだな」
「ええ〜、そんなあ、パスハさん」
「お願いです。どうしても、今日行かなくてはなりませんの」
 パスハの叱責に、女王候補たちは、必死の面持ちで、訴えてきた。
「そこまで言うのなら、もう先を争ったりはせぬことだ」
「はい、わかりました」
 女王候補たちは、しおらしく頭を垂れた。
「では、二人ともまず深呼吸をしなさい。そして……ロザリアから遊星盤に乗りなさい」
「ありがとうございます、パスハ様!」
 アンジェリークは、一瞬不満げな表情を浮かべたが、パスハの鋭い一瞥に、言葉を飲み込み、おとなしく深呼吸を繰り返した。
 こうした一幕の後に、二人の女王候補は、意欲満々で、それぞれの大陸へと向かった。
「二人とも、頑張るんだぞ……」
 少女たちの背を見送りながら。そっとエールを贈るパスハなのだった。
 しかし彼は、知らなかった。大陸に向かう途中で、女王候補たちが、こんなやりとりをしていたことを。
「いいこと。フェリシアの方が、あんたの大陸よりず〜〜っと良い材料が手に入るんですからね!!」
「何言ってるの。エリューシオンだって、負けないわ! 民たちが一生懸命育てた材料で、きっとあの方の心に届くチョコを作ってみせるわ!」
「ほほほっ! あなたがどんなチョコを作るか、楽しみにしてるわ。せいぜい私のチョコに見劣りしないものを作ることね!」
「うう〜、負けないわ! 2月14日まで、正々堂々の勝負よ!」
「望むところよ!」
 恋する乙女たちの闘争本能は、まさに今、めらめらと燃え盛っていた。

 そして、この時期、エリューシオン、フェリシアで、それぞれ農産物の収穫量が飛躍的に増えたものの、その後働きすぎて、疲弊する民が続出。闇の力を大量に必要とすることになり、およそ不本意な多忙な情況に陥った闇の守護聖の、眉間のしわがより深くなった、とか。
 二人の女王候補が、それぞれ誰に本命チョコを贈ったのか、それを知るのは、当人たち以外では、占いの館のサラだけだ、とか。
 飛空都市内で、様々な噂が飛び交うことになったが、パスハの耳には一切届かなかった。かの首座の守護聖の雷と同等の威力を持つという、彼の逆鱗に、あえて触れようという者は、誰もなかったためである。
 パスハは、今日も二人の女王候補を、王立研究院で待っている。このごろ、以前より二人の大陸視察の回数が減っているようだ。それどころか……。
「おまえは、先週の土曜日、大陸視察に行かなかったな! そんなことで女王候補が務まると思っているのか!」
 今日も王立研究院に、怒声が響く。パスハの任務がまっとうされる日は、まだずっと先になりそうだった。
                                (終わり)



「私もゲーム中、パスハさん、怖かったです」というご感想を頂きました(笑)
確かに! 土曜日に、あのジュリアスでさえ、誘いに来るという事態を、泣いて彼に訴えたかったものです(笑)

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