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管理人の書いた、乙女ゲーの二次創作保管庫です。
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乙女ゲーとか映画とか書物を愛する半ヲタ主婦。
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誕生日祝いのネタを作る合間に、ちょっとしたお遊びを。
(ていうか、そっちをお待ちの方、もしいらしたら、すみません!)

通わせて頂いている某サイトさんのブログで、とっても愉快な
ネタが載ってまして。あまりに愉快だったので、そのスタイルで
一発書いてみました。
Cどりさん、励まして下さり、ありがとうございました。
ご指導、あんまり反映できなくて、すんません^^;

んで、いかなるものかというと、私がその昔見た夢の内容を、
膨らませて書きました。ていうか、ずいぶん前に見たので、
ある一場面しか覚えていないため、ほとんど創作です。
ネオロマおよび、実在の人物とは、何の関係もありません。
ただのネタです。

以上をご理解のうえ、読んでやろうという方のみ、どうぞ〜。

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伸ばされた手を、取ればよかったのかもしれない。
正しかったのか、まちがってたのかは、わからない。
ただ、胸の中に、せつなさが残ってる……。

 あたし、みどり。ええと、アラサーってヤツ?
トシのことは、もういいじゃん。やさしい彼のたっくんと二人ぐらし。
 たっくんとは出会ったのは、歌舞伎町のホストクラブでだった。
その頃のあたしは、私鉄の終点に近い、大きくも小さくもない町に住んでて、一時間半かけて、都心に通って、さえないOLをやっていた。

 つまんない仕事、つまんない毎日。
こんな日がずうっと続くのかって、うんざりしてた。そんな毎日に、きらきらとどきどきをくれたのが、たっくんだったの。
 最初はね、ホストクラブってどんな怖いところかと思ってたんだ。
会社の先輩(次期お局って呼ばれてる)に、強引に連れてかれて。
表向きは笑ってたけど、心の中では泣きそうだった。
でも、そこに、たっくんがいたの。

 先輩が、猛プッシュしてるお店のNO.3の聖矢くんの後から、おずおずとやってきたたっくん。私の横に座って「初めまして、昴です」って言ったたっくん。
 初めて来て、どうしたらいいのかわからないあたしにもわかるぐらい、緊張してた。入店して、まだ一週間だったんだもんね。
 ぎこちない手つきで、お酒を作ってくれて、ぶるぶる手をふるわせながら、置いてくれた時、やっとあたしの顔をまともに見て、笑った。なんてきれいな目の男の人なんだろうって思った。一瞬で、好きになっちゃったんだ。

 それからのあたしは、たっくんに会いたくて、会いたくて、店に通いつめた。最初のうちは、たっくんを指名するお客さんは、そんなに多くなかった。
たっくんは、あたしが一番熱心なお客さんだって、喜んでくれた。
 あたし、たっくんの売り上げのために、がんがんボトルを入れた。貯金通帳の残高が、どんどん少なくなっていっても、気にならなかった。大好きなたっくんのためだもの。
 そうしているうちに、他のお客さんも、だんだんたっくんの良さに気づいてきて、指名が増えてきた。
 お店に行って、あたしのところに付いても、たっくんはお金を持っているお客に呼ばれて、離れてしまうことが多くなった。たっくんは、いつもすまなさそうな顔をしてた。
 ほんとは、あたしの傍を離れたくなかったんだ。でも、お店に出ている以上、お金を持っているお客にサービスしないわけにはいかない。それがわかるだけに、せつなくて……。だったら、あたしが一番お金を持てばいいんだって思った。
 
 OLの稼ぎじゃ、たかが知れてるし。あたし、考えて、キャバ嬢になることにした。ぎらぎらしたオヤジの相手をするのも、札束と思えば、なんてことなかった。
 そうして稼いだお金で、たっくんに会いに行った。一番高いボトルをいつも入れられるようになって、たっくんを独占できるようになった。たっくんは、すごく喜んでくれた。

 でも、元々ホストの仕事は、たっくんに向いてなかったみたい。
肝臓を悪くして、働けなくなっちゃった。あたし、そんなたっくんをほうっておけなかった。一緒に住もうって言った。
 たっくんは、最初、断った。あたしに迷惑をかけられないって。でも、あたしは、たっくんを独占したかった。そばに居られるだけでよかった。
 キャバ嬢で稼いだお金もあったし、それでしばらくはやっていけると思った。そうして、あたしたちは、マンションを借りて、一緒に暮らすようになった。 
 とにかく、たっくんのからだを治すことが一番だったから、評判のいい病院をあちこち回った。たっくんの食べる物も、最高級の物を集めて、作った。

 そのかいがあって、たっくんは、少しずつ元気になった。今では、パチンコにも行けるようになった。勝った日は、にこにこして、あたしにいっぱいお菓子を持って帰ってくれた。でも、まだやっぱり、すごく疲れやすいみたいで、調子の悪い時は、ふとんにずっと入ってた。
 後少しで、きっとたっくんはすっかり元気になれるのに。でも、もう、お金がほとんどなくなってきちゃった。
 働かないと。でも、あたしのトシでは、もうキャバ嬢にはなれない。“売り”は、できたらしたくない。だって、あたしが愛されたいのは、たっくんだけだもの。
 そんな時、あたしは何げなく見ていた雑誌で、住み込みのメイドの募集を見つけた。
「これだ!」と思った。たっくんのそばを離れるのはさびしいけど、時給もいいし、住み込みの分、お金を貯められるとおもった。たっくんも、もう自分の身の回りのことはできるから、仕送りをすればいい。

 面接に行ったら、意外とあっさり採用ってことになった。勤務地は、Y県の別荘地。たっくんに、そう言ったら「なんでそんな遠くへ行くんだ」って怒られた。「一日だって離れていたくないのに」って。
 あたしだって、もちろん、できることなら、離れたくなんかない。でも、たっくんにすっかり元気になってもらうためには、それしかないんだって言ったら、たっくんも泣きながら、あたしを抱きしめてくれた、そのまま朝まで、ずっと……。

 そうして、あたしは、Y県の別荘で働くことになった。別荘っていうより、お屋敷? 映画で見たような、石造りの洋館だった。あたしの他にもメイドはたくさんいた。あと、料理人とか、庭師とか……うそみたいな世界だった。
 あたしを雇ったこの洋館のオーナーは、財界の大物かなんかで、とにかくセレブらしい。それでしょっちゅうこの洋館でパーティーを開くもんだから、たまらなかった。
 週のうち何日かは、会場になるホールの大掃除、パーティー当日は、大勢の招待客への料理のサーブ、終わったら後片付けと、また大掃除。その繰り返しだった。給料がいいのは、仕事がハード過ぎて、メイドがすぐやめちゃうからだった。
 
 あたしはやめなかった。たっくんのためだもの。でも、山奥で、携帯の電波状態が悪くて、メールもできないのには、参った。せめてたっくんの声を聞きたい。
 仕方がないから、仕事が終わってから原チャリを飛ばして、公衆電話をかけに行った。
ルルル……ルルル……。
 それがあたしと、たっくんをつなぐ音。電話口に出てくるたっくんは、何だかいつも眠そうだったけど、元気そうだった。いつも、仕事、がんばれって励ましてくれた。
 
 会いたい、会いたいよ、たっくん。顔を見て、声を聞いて、そして抱きしめられたい。でも、たっくんのために、あたし、がんばる。いつか、また元気になったたっくんと一緒に暮らせるように……。

 あの人と出会ったのは、その洋館でのことだった。
名前は、トン=ソンイル。厨房で働く料理人のひとりだった。
 ここの料理長って、とっても怖い人で、ちょっとでも出来上がった料理を運ぶのが遅れたり、失敗すると、怒鳴りつけられるみたいな、とんでもないオヤジだった。
 トンさんは、あたしが料理長に怒られた時は、こっそりデザートを取り置きしてくれたり、気にするなって、なぐさめてくれた。
まるい顔で、あたしにいつもやさしく笑いかけてた。
 
 そんなトンさんに……あたし、ある日、告白されてしまった。
パーティーの夜だった。人がいっぱいのホールの空気に、あたしは少し気分が悪くなって、テラスに出た。すると、そこへトンさんがやってきた。
「どうしたの?」
「ちょっと人ごみで気分が悪くなっちゃって。でも、こうして外の空気吸ってたら、よくなると思う」
「ほんと? 水でも持ってこようか?」
「ありがとう、でも大丈夫だよ」
「そう、なら、いいんだけど……」
 トンさんは、いつものシェフ姿だったけど、不意に帽子を脱いで、うつむいた。手の中でいじり回し始めた。
「トンさん? だいじな帽子、そんな風にしてたら、ぐしゃぐしゃになっちゃうよ?」
 トンさんは、思い切ったように顔を上げて、あたしを見つめて、言った。
「……アンパンマンを好きになって下さい」
 はああ? 一瞬トンさんが、何のことを言ってるのか、わからなかった。
「……アンパンマンは、ダメですか?」
 赤い顔をして言うトンさんを見て、やっとわかった。アンパンマンって、トンさん、自分のことを言ってるんだ。胸がどきどきした。やさしくて、まじめなトンさん……。きっとあたしのこと、大切に思ってる。でも……でも……あたしにはたっくんがいる。トンさんの気持ちには、こたえられない。
「ごめんなさい……」
 トンさんは、とっても悲しそうな顔をして、でも「わかりました」って、うなずいて、中へ入っていった。あたしも、悲しくて、せつなかった……。トンさんのようないい人を傷つけてしまったんだもの。


 あの夜のことを思い出すと、今でもせつなくて、胸がきゅうっとする。トンさんとのことがあってから、いづらくて、メイドはやめてしまった。
 東京の、たっくんの傍に帰ってきたんだけれど……。たっくんに、なんで仕事をやめたんだって、怒られた。食っていけないじゃないかって。俺は、まだからだが悪くて働けないんだからって。
 あたしは、東京で次の仕事を探した。でも、これと言った特技のないあたしが、たっくんの生活を支えられるほど、稼げる仕事なんてなかった。
 あたしは、考えて、ソープ嬢になった。知らないオヤジに奉仕しながら、時々ふっと思う。あの時、差し伸べられたトンさんの手を取ればよかったのかもって。でも、あたしは、しあわせなの。しあわせでないはずがないの。だって、大好きなたっくんの傍にいられるんだもの。……たっくんは、まだからだが悪くて、働けないけれど、いつか、きっと……。

                            (終わり)




 プロ野球好きな方なら、気づかれたかもしれませんが、トン=ソンイルさんが、私の夢に出てきた時は、ソン=ドン◯ルさんでした(笑)
ソン=◯ンイルさんは、韓国出身で、中日でピッチャーとして、活躍していました。(ヒロインとたっくんに、モデルはありません)
目覚めた時は、とっても切なかったのですが、なんでよりによって彼だったのか、未だにわかりません(爆)
 アホネタにおつきあい頂き、ありがとうございました。

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アンパンマンにしておけば……
というわけで遅くなりましたがコメントしに参上つかまつりました。
アンパンマンって、そういうことだったのですね~。なるほどです。
ですがちょっと待て! 全然痛くないですよこの話(典型的な破滅に導かれていくヒロインは痛々しくはあるのですが)。
だってケータイ小説にしては、構成がきちんとしてるし世界観も描写もしっかりしてるし、なにより文章が上手すぎます。(笑)つまるところ、面白かったということです~。先日、本館のほうだったかに上げられていた、ライターさんがケータイ小説にチャレンジした話を思い出しました……。

ところで加地創作なんですが、私、拝読させていただいてPCの前にひれ伏しました。加地ってちゃらんぽらんに見えますが、音楽に関しては完璧主義者なので、ついていけない自分が嫌いでたまらんのでしょうね。この時期は、ましてやとくに連鎖なら3あたりだし……。声が枯れるまで泣き続けた先には、何が見えるんでしょうね。
うまく言えませんが、よい話を読ませていただきありがとうございました。
ちどり 2008/11/18(Tue)19:30:08 編集
ご感想、ありがとうございますv
ちどりさんに続けと、調子こいて、書いてみたものの、
ネタというわりに、あんまり笑えるものにならなかったのが、
反省点です^^;
また、ケータイ小説にしちゃ、センテンスが長過ぎる箇所が、
多々ありますなあ。もっとぶつぎりじゃないとね。
本館に書いた記事のことも、覚えていて下さって、ありがとう
ございますV

また加地創作に関しては、自分なりの解釈なのですが、
加地をこよなく愛していらっしゃるちどりさんのお心に
触れたなら、よかったですV
彼は、プライドが高い分、内面は相当ぐるぐるしていると
思います。

最近、PS2、ほとんど触ってないんですよ^^;
なんか、ゲームするための、まとまった時間が
とれないんです。
秋から冬にかけて、季節感もぴったりなので、
コルダ2もやり直してみたいんですけどね。

いつも、ちどりさんには、いろいろ刺激や示唆を
頂いてます(勝手に^^;)
こちらこそ、感謝です!

【2008/11/18 22:22】
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