管理人の書いた、乙女ゲーの二次創作保管庫です。
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乙女ゲーとか映画とか書物を愛する半ヲタ主婦。
このブログ内の文章の無断転載は、固くお断り致します。
また、同人サイトさんに限り、リンクフリー、アンリンクフリーです。
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ええと〜、何が微妙かって言うと、出来とか、私の趣味に走っているとか、
まあ、その……。
しいて言えば、ギャグ話ですが、その微妙さを笑って流すなり、もしくは、
「しまった〜」と思っても、これも経験♪ と前向きにとらえて頂ければ、と。
(と言いつつ、書き逃げ体勢に入っていたりします^^;)
まあ、その……。
しいて言えば、ギャグ話ですが、その微妙さを笑って流すなり、もしくは、
「しまった〜」と思っても、これも経験♪ と前向きにとらえて頂ければ、と。
(と言いつつ、書き逃げ体勢に入っていたりします^^;)
「あなたを捜して」
4時限目の化学の授業の後、当番の私は、実験の後かたづけをすませ、理科室から教室へ戻ろうとしていた。
「日野、ちょっと待った!」
振り返ると、化学の先生が小走りに追いかけて来た。
「何ですか、先生?」
「このノートな、加地の忘れ物なんだ。持って行ってくれ」
「あ、はい。わかりました」
「じゃ、頼んだぞ」
簡略化されたトカゲのイラスト(アフリカって感じ?)が表紙にデザインされた、外国製らしいノートには、確かに「A.Kaji」と記されていた。化学のノートっぽくはないけど、加地君っぽいな。くすりと笑ってしまう。
ちょっと癖のある、でも流れるような筆跡で書かれた表紙の名前を眺めるうち、中身を見たくなってしまった。
勝手に中を見たら、悪いかな、と思いつつ、誘惑に負けて、ぱらぱらページをめくってみた。実験の図解とか、板書がきれいに写されている他に、ところどころ要点をメモ書きしてあったり、マーカーを引いてあったり。要領のいい彼らしいわかりやすいノートだったけれど、余白に書かれた走り書きに、私の目は吸い付けられてしまった。
「死の中にこそ、生を見出したり? 死にゆく者の気持ちとは……? 何、これ?」
そういえば加地君、太宰治が好きだって言ってたっけ。……まさかね。ぶんぶん頭を振って、そこから連想される暗いイメージを追い払おうとしたけれど。
また、ふと思い当たってしまう。……何となく、この頃真面目な突き詰めるような顔をしていることが、多くなったみたい……。
自分の中で、次第にふくらんでくる暗い想像を、何とかなだめながら、私は急いで教室に向かった。教室に戻って、加地君にノートを渡して、中を見たお詫びとともに、さりげなく聞いてしまえばいいんだ。
そんな段取りを考えながら、教室のドアをがらりと開けた。お弁当のにおいとクラスメイトのざわめきの中に、加地君の姿を探したけれど……見あたらなかった。別に不思議なことじゃない……。購買に行ったのかもしれないし、カフェテリアに行ったのかもしれない。でも、いてほしい時にいてくれないと……理不尽だけど、へこんでしまう。と、その時
「お帰り、日野っち。遅かったね」
友だちの上条須弥ちゃんが声を掛けてくれた。
「うん、片づけに手間取っちゃって。ねえ、加地君は?」
「加地君? そう言えば、いないね。購買にパンでも買いに行ったんじゃない」
「……そう」
私の表情が沈んだのを見て取って、須弥ちゃんは心配そうに眉をひそめた。
「どうしたの? 何かあった?」
「ううん、何でも……」
と、答えかけた時、別方向から明るい声が飛んで来た。
「加地君なら、手に何冊も文庫本持って、出て行ったよ」
声の主は、もう一人の友達、東雲乃亜ちゃんだった。
「文庫本持って……?」
「うん、何の本? って聞いても、にっこりするだけで、教えてくれなかったけど。ちょっとミステリアスでかっこいいよね〜」
面食いで、実は加地君にちょっと憧れている乃亜ちゃんが、そう言って、うっとり視線をさまよわせるのを、彼氏の谷君が慌ててたしなめた。
「お〜い、東雲〜。帰ってこ〜い?」
谷君には気の毒だけど、乃亜ちゃんが美形男子好きで、ほんとによかった。だって、その情報で、私は加地君の居場所の見当を付けることができたから。
「ありがと、乃亜ちゃん。私、ちょっと加地君に用があるから、探して来るね」
「あ、うん」
「日野っち、お昼、どうするの? 時間、なくなっちゃうんじゃない?」
心配してくれる須弥ちゃんの言葉に、私は笑顔を返した。
「大丈夫だよ、用事が済んだら、しっかり食べるから」
私は二人に手を振って、教室を飛び出した。
「いってらっしゃ〜い」
二人の声が私の背中を押すみたいに、追いかけて来た。
数分後、私は屋上へ続く階段までたどり着いていた。普通科の屋上は、本当は立ち入り禁止なんだけど、加地君は気に入って、時々こっそり上がっていた。
そこで日の光を浴びながら、のんびり音楽を聴いたり、本を読んだりするのが、好きだって言ってた。今日みたいな秋日和の日に、文庫本をたくさん持ってっていったら、この場所にいる確率は相当高いはず。
急な階段を昇る前に、私は走ってきたせいで、上がってしまっている息を整えた。そうして、さらりとあの走り書きについて聞けるように、頭の中でシナリオを書いた。
(ええと〜、まず、いいお天気だから、私も来ちゃった、から始めて……)
何度かおさらいをして、よし大丈夫って思えたところで、私は階段を上がった。
鼓動が速くなる。どうか加地君がいてくれますように!
ドアを開いてみると……加地君がこちらに横顔を見せて、あぐらをかいて座っているのが見えた。
(よかったあ〜)
胸をなで下ろして、声を掛けようとして、私はふと加地君の様子がおかしいのに、気が付いた。
眼を閉じて……眠ってる? でも、眠ってるにしては、眉間にしわ寄せて、随分厳しい顔してるみたいな? ええと、どっちかって言うと、座禅を組んでるって感じ?
頭の中、疑問符でいっぱいになりながら、様子を観察していると、加地君がぶつぶつ何か言ってるのが聞こえた。
「……とは……」
内容はよく聞き取れない。というか、かなり挙動不審なので、思い切って声をかけようとしたその時だった。
「死に行く者の気持ちとは〜〜〜!!!」
いきなりかっと眼を見開いて、叫びながら立ち上がると、私の方へ向かって、剣道の竹刀を持つみたいに、振り上げた両手を、思い切り振り下ろした!?
「きゃああ〜〜!!」
あまりのその勢いと、気合いみたいな大声に、びっくりして私は腰が抜けてしまった。
私の悲鳴で、加地君は、はっと我に返った様子だった。
「香穂さん……? なにゆえ、こんなところにいるのでがんす?」
が、がんす!? 何、それ? この時の私は、思い切り目が点になっていたと思う。あっけに取られた後、次に私の頭を支配したのは、この理解不能な人から、できる限り速く、遠ざかりたいという考えだった。
「……」
無言のまま、踵を返して、走り去ろうとした私の腕を、加地君が慌ててぐっと捕まえた。
「は、離して〜〜〜!!」
手をぶんぶん振ったけど、細身とはいえ、そこは男子、加地君の力は強くて、振り放すことができなかった。
「落ち着いて、香穂さん。驚かせて、ごめん。ちゃんと説明するでがんす」
また……また、がんす〜〜〜? もう、何が何だかわからなくて、半泣きになりながら、手を必死にふりほどこうとした。
「あ、ああ〜〜、ごめん! またびっくりさせちゃったんだね? 大丈夫だよ、ほら、もう、いつもの僕だよ」
言いながら、加地君はよしよしという感じで、頭を撫でてくれた。
その感触と”いつもの僕”という言葉に、私は段々落ち着きを取り戻し、恐る恐る加地君の顔を見上げてみた。
申し訳なさそうな、ちょっと気弱そうな笑み。あんまりクラスメイトなんかの前では見せないけれど、確かにふとした時にかいま見える表情だった。
私が暴れるのをやめ、落ち着いてきたと見ると、加地君はほっとしたように、私の手を離した。
「ごめんね? 香穂さんが、まさかいるとは思わなくて。びっくりしたでしょう」
私は、こっくりと肯いた。驚いたなんてもんじゃない、心臓が口から飛び出すか、と……。なんていうか、加地君って、以前から常識を超えた部分があるって、思ってたけれど、本格的に規格外の人だったんだって、恐怖さえ感じたっていうの。
この数分間で、加地君を見る目が、変わったかも。
そんな私の疑いの眼を感じ取ったのだろう、加地君は、何とも悲しそうな、情けなさそうな顔をした。
「ああ〜、君が不審に思うのも、無理はないよね。お願いだから、僕の話を聞いて?」
う〜ん、この綺麗な造作で、こういう表情をされると、やっぱりイヤとは言えない。仕方なく、私はまた、こっくり肯いてみせた。
「ありがとう。ええと……実は今、ある作家にハマってるんだよね。時代小説書く人なんだけど、けっこうどっぷり世界に浸っちゃって……」
言ってる間に、加地君の目が、段々うっとりした色になってきた。
「その作家の映画化作品も、ビデオで観たんだけど、映画で使われている東北地方の方言の響きが豊かで、美しくって……」
何となく読めて来た。そう言えば、前にその時読んでる物に、口調とか影響されるって言ってたっけ。一応、確認しておこう。
「で、”がんす”な訳?」
「そうなんだよ!」
と、力強く肯く加地君。OK、謎は一つ解けた。じゃあ、もう一つの疑問。ノートにも書かれていたアレは一体?
「じゃあ”死に行く者の気持ちとは……”ってのは?」
「かっこいいでしょう? 義に厚い、剣の達人の主人公が言うセリフなんだよね。さすがに、人前でその場面を再現するのはまずいから、ここでやってたんだけど」
つまり、太宰じゃなく、そっちだったわけね。恥ずかしいところを見られちゃったな、と、照れ笑いをする加地君を見ているうちに、私の中でふつふつと何かが煮えたぎってきた。昼ご飯も後回しにして、心配してここまで来た私って、一体……!
”死に行く者の気持ち”を私が加地君に実感させてやりたい気分になったけど、怒りが渦巻く中で、ふと附に落ちることがあった。
……最初、公園とかで私のヴァイオリンを聴いて、気に入った後って、このノリだったんだ、きっと!
私なんかに夢を描きまくり、転校までしてきて、私を混乱させる加地君……。そう、彼は私の心をかき乱すの。ただでさえそれまで馴染みのない音楽の世界に巻き込まれ、魔法の力を借りてとはいえ、努力せざるを得なくなった私に、”ファンなんだ”と、プレッシャーをあり得ないレベルでかけてくる。これ以上、私にどうしろって言うのよ?
黙り込んでしまった私を、加地君は不安げに覗き込んだ。
「あの? 香穂さん、やっぱり怒ってる?」
自分の中の葛藤を、とりあえず収めるために、私は深呼吸を一つした。この怒りの落とし前は、元凶の人に、つけてもらうのが筋ってものよね。そうして加地君の言葉に応えた私の口元には、きっと悪魔の笑みが浮かんでいた、と思う。
「ううん、怒ってなんかないよ。加地君、本がすごく好きなんだね。だったら、私の好きな本も読んでくれる? 気に入ってくれたら、嬉しいんだけど」
加地君は、ほっとするのと一緒に、ほんとうに嬉しそうな顔をした。
「香穂さんの勧める本なら、喜んで読ませてもらうよ! 君の好きな本、好きな世界を分かち合えるなんて、すごく嬉しい!」
「そう? じゃあ、今度持って来るね。今はもう、あんまり注目されてないような作家だから、加地君が読んで、みんなにも勧めてくれたらいいな」
「へえ〜? 誰だろ? そこまで香穂さんが好きな作家なんだ? 楽しみだなあ」
ここまで話がまとまったところで、昼休み終了のチャイムが鳴った。……結局、お弁当、食べ損なっちゃった。
「あ、チャイムが鳴ったね。香穂さん、一緒に教室まで戻ろう?」
急にぐうぐう鳴り出したお腹に耐える私の苦しみなど知らぬげに、加地君がさわやかな笑顔で言った。……ほんとに、その笑顔がくせ者なのよ! 心の中で毒づきながら、私は微笑んで応えた。
「そうね、急がないと!」
「次の英語、僕、予習してあるから、わからなかったら、聞いてね!」
相変わらず、私をお姫様のように扱う加地君。秋の午後のあたたかな日差しを浴びて、私に笑いかける姿は、ほんとうにおとぎ話の王子様みたいだった。
でも……私はあなたを許さない。今までもろもろの精神的負担に加えて、この空腹で、怒りは三割増し。必ず、読んでもらうからね、花登筺(はなと こばこ)の「あかんたれ」を。大阪船場の商人の元で、涙の丁稚奉公をする主人公に、思い切り浸って、なりきってみせてよね!
来るべき事態に、ほくそ笑みながら、私は加地君の傍らを、教室へ向かって歩き始めた。
(終わり)
ね、微妙だったでしょ?^^;
ええと、私が幼少の頃は、花登筺原作のテレビドラマをよく放映しておりました。
「細うで繁盛記」とか「どてらい男」とか。
正直、内容はよく覚えてないのですが、いろんな苦難を乗り越えて、
一人前の商人として成長していく、みたいな話でした。
「あかんたれ」も、大阪の商家を舞台にしたベタベタの人情物。
花登作品の主人公たちが、踏まれても、泣かされても、けっしてめげずに、
オオサカン・ドリームを叶えていくってのが、強いイメージとして、
残っています。
ぜひ加地君に見習ってほしいものです(笑)
更に言うと、加地君がハマったのは、藤沢周平作品です。
どうか、さらっと流して下さい〜〜(><)
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食いつき
コマツバラさん、こんにちは。
加地くん作品に思わずガブッと食いついてしまいました。
影響されるならどこまでも。方言にまで染まる加地くんが
可愛すぎる(ええ、目の裏側にはウロコがビッシリですよ)
香穂子ちゃんオススメ(?)の「あかんたれ」に加地君が
どう影響されるか、もんのすごく楽しみです。
え?続きはあなたの心の中で、ですか?(笑)
加地くん作品に思わずガブッと食いついてしまいました。
影響されるならどこまでも。方言にまで染まる加地くんが
可愛すぎる(ええ、目の裏側にはウロコがビッシリですよ)
香穂子ちゃんオススメ(?)の「あかんたれ」に加地君が
どう影響されるか、もんのすごく楽しみです。
え?続きはあなたの心の中で、ですか?(笑)
ウロコ(笑)
こんな”困ったちゃん”な加地を可愛いとのお言葉、ありがとうございます。
(すんごい、ほっとしちゃいました。ほんとに^^;)
愛はウロコさえ生やすものなのですね(何だ、それ?)
「あかんたれ」に影響される加地。
個人的には、中番頭さんあたりにいびられて、
せんべい布団の中で、泣き濡れてほしいです(笑)
(すんごい、ほっとしちゃいました。ほんとに^^;)
愛はウロコさえ生やすものなのですね(何だ、それ?)
「あかんたれ」に影響される加地。
個人的には、中番頭さんあたりにいびられて、
せんべい布団の中で、泣き濡れてほしいです(笑)
わしも食いつき
てっきり壬生義士伝かと思いきや、藤沢周平だったのですね。
と、オチから入ってしまったちどりでがんす。こんにちは。
あかんたれはもう覚えてないですが、主題歌はちょっとだけ歌えます。「あかんたれ、あかんたれー」←そこだけかいオイ!
加地の屋上での持ち込み本は、某イタカジストさんとの間では「ドグラ・マグラ」「家畜人ヤプー」「少年愛の美学」あたりで香穂さんにドン引きされたらいいよね、という結論で落ち着いていたのですが、時代劇もよいでがんす。ぜひ(加地的には)目障りな柚木とか、斬ってもらいたいでがんす。
と、オチから入ってしまったちどりでがんす。こんにちは。
あかんたれはもう覚えてないですが、主題歌はちょっとだけ歌えます。「あかんたれ、あかんたれー」←そこだけかいオイ!
加地の屋上での持ち込み本は、某イタカジストさんとの間では「ドグラ・マグラ」「家畜人ヤプー」「少年愛の美学」あたりで香穂さんにドン引きされたらいいよね、という結論で落ち着いていたのですが、時代劇もよいでがんす。ぜひ(加地的には)目障りな柚木とか、斬ってもらいたいでがんす。
おお、そうです〜
「壬生義士伝」という手もありましたね!
(映画は、テレビで見ました)
「あかんたれ」ご存じでしたか^^
某友人が、どこで見つけたのか、主題歌の着メロを
プレゼントしてくれまして。
実家の母用に設定しております^^
「ドグラ・マグラ」「家畜人ヤプー」「少年愛の美学」!
みごとなドン引きラインナップですね(笑)
柚木を叩き斬ろうとしたら、フルート精神波攻撃で返り討ちに
あうやもしれません。(BY「人○人間キ○イダー」)
加地には精進を期待したいものです。
楽しんで頂けたようで、ほっとしました^^
(映画は、テレビで見ました)
「あかんたれ」ご存じでしたか^^
某友人が、どこで見つけたのか、主題歌の着メロを
プレゼントしてくれまして。
実家の母用に設定しております^^
「ドグラ・マグラ」「家畜人ヤプー」「少年愛の美学」!
みごとなドン引きラインナップですね(笑)
柚木を叩き斬ろうとしたら、フルート精神波攻撃で返り討ちに
あうやもしれません。(BY「人○人間キ○イダー」)
加地には精進を期待したいものです。
楽しんで頂けたようで、ほっとしました^^