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管理人の書いた、乙女ゲーの二次創作保管庫です。
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乙女ゲーとか映画とか書物を愛する半ヲタ主婦。
このブログ内の文章の無断転載は、固くお断り致します。
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やっとでけました。
こんなに書いちゃ消し、書いちゃ消ししたこと、
近年あんまりないような気がします……。
む〜、これで今盛り上がりつつある(?)ヴィクロザ気運の、
追い風に多少でもなればよいのですが。

初めにお断りしておきます。
セイランが出て来るのですが、ちとSP2の彼から外れた
ことになってます。すみません。

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「Only you 」

 ステンドグラスを通して差し込む日差しが、床の上に美しい模様を描いている。太陽が動くにつれて、日差しの角度が変わるたびに、移ろいを見せるその模様に、いつも目を留めずにはいられなかった。
(ほんとに、いつ見ても美しいこと……)
 思わずため息を漏らすと、部屋の主が声を掛けてきた。
「こんにちは、ロザリア様。何か御用ですか」
 感性の教官セイランの水色の瞳が、艶やかな髪の間から、ロザリアを見つめている。簡素だが洗練されたデザインの椅子に無造作に腰掛け、膝にはスケッチブックを広げて、絵を描いていた様子だった。
「こんにちは、セイラン。お邪魔して、すみません。先日提出して頂いた、女王候補たちの成績表に関して、王立研究院が分析した安定度の予測と、守護聖たちの見解をまとめたものをお持ちしましたの」
「それは、わざわざどうも」
 セイランが書類の束を受け取ると、ロザリアは言葉を続けた。
「一通り私が見ましたけれど、必要な書類が揃っているか、すみませんが、今確認して頂けます?」
「……承知しました」
 セイランは軽く肩をすくめると、スケッチブックを閉じ、パステルと一緒に、手近な小卓に置き、書類の束をめくり始めた。その様子を、ロザリアは傍らで見守っていたが、小卓の上のスケッチブックが気になって仕方なかった。何せ宇宙に名声鳴り響くセイランが、リアルタイムで描いていた絵である。興味をそそられずにはいられなかった。するとセイランは、そんなロザリアの心のうちを見透かしたように、書類から目を離さないまま言った。
「見てもかまいませんよ。落書き程度のものなんで、あなたの興味を満たせるかどうかは、わかりませんが」
 ロザリアは驚くと同時に、セイランの目に、好奇心満々のように映ったのかと、顔を赤らめた。
「いえ……そんなぶしつけなことは致しません……」
 恥じらいながら遠慮すると、セイランは目を上げて、ロザリアを見た。その口元には、意外にも笑みが浮かんでいた。
「おや? 僕の絵に関心を持って下さったんじゃないんですか。いつもステンドグラスの模様をご覧になっている時みたいに、美を発見してもらえると思ったんですがね」
「まあ!」
 それも気づかれていたのかと、驚くと同時に、芸術家の鋭い観察力に、ロザリアは内心舌を巻いた。するとセイランは、くすりと笑って、付け加えた。
「ロザリア様の視線って、特徴があるんですよ。心惹かれる物を見る視線が、ね」
 そして心の中で秘かに言葉を続けた。
(また、そういうあなたを見るのは、なかなかに興味深い。誰もが憧れるような完璧な貴婦人なのに、純粋な憧れをその瞳に映すから……)
「お見通し、というわけですのね。降参ですわ」
 ロザリアが苦笑しつつ認めると、セイランは、すました顔で、スケッチブックをロザリアの方へ押しやった。
「ご遠慮なく。たくさん書類を持って来て下さったので、見るのに少し時間がかかりそうですしね」
「では、お言葉に甘えて……」
 わくわくしながらスケッチブックを開くと。セイランの鋭い視線と卓越した技量がとらえた、様々な事物が姿を現した。
 聖殿の建物の全体像や、壁面彫刻などの細部を克明に模写したもの。休日の庭園の風景、光を浴びて踊る噴水。
 ラフなスケッチとはいえ、ロザリアの感嘆を誘うのに、十分な磁力をそれらの小品は備えていた。スケッチブックの後半に入ると、次第に人物のスケッチが増えていった。庭園の露店の商人や、占い師のメル。セイランの巧みな筆致によって、それぞれの個性が、生き生きと白い紙の上に、息づいていた。
 そして、やはり身近に接するせいだろう、教官仲間を描いた物も何点か描かれていた。注意深く写し取られた、ティムカの民族衣装や、アクセサリーの独特の細工。こちらを向いて笑っている、黒曜石のようなその瞳の輝き。
 次のページをめくれば、ヴィクトールがくつろいだ様子で、足を投げ出すように椅子に掛け、マグカップを手にしている姿。
 なにげない一瞬を、鮮やかに切り取るセイランの技量に、ロザリアはつくづく感心し、心楽しく観賞したが、もっとも心惹かれるのは、何と言ってもヴィクトールを描いたスケッチだった。
 ティムカは、モデルになることに、ほとんど抵抗がない様子で、視線をこちらに向けているものが見受けられたが、ヴィクトールは、多分照れてしまうのだろう。意識して、こちらを見ている絵は一枚もなかった。
 セイランは、ほとんど本人が気づかないうちに、ささっと描いてしまったようだった。そのため、より自然で、気取りのないヴィクトールの表情がとらえられていた。芝生の上で、のんびり横になっている穏やかな表情に、ロザリアは、心臓がとくんと跳ねるのを感じた。それは、ロザリアと二人だけでいる時に、ふと覗かせる顔だったからだ。
 この表情を見たセイランに、軽く嫉妬を覚えると同時に、また自分の前で、それほど気を許している証拠とも思えて、ロザリアは胸が熱くなる思いだった。
 ところが、そんなしあわせな気持ちは、ある絵を見た瞬間、消し飛んでしまった。
(これは……!?)
 ロザリアは心臓を冷たい手で掴まれたような。衝撃を覚えた。構図としては、何の変哲もない絵。ヴィクトールが窓辺にたたずんで、外を眺めているという、ただそれだけの……。だが、その横顔には、そげ落ちたような痛々しい線が現れ、そしてその瞳は……いつも温かさを感じさせる瞳は、あまりに暗い翳りに覆われていた。
(あの人の、こんな顔を、私は見たことがない……!)
 思わず息を詰めて、絵を見つめるロザリアの、ただならぬ気配を感じ取ったのか、セイランが書類から目を上げた。そして立ち上がって、ロザリアの手元を覗き込み、彼女が何を見たかを知ると、黙ってその手からスケッチブックを取り上げた。
「セ……セイラン?」
「失礼。ですが、彼の心の中にあるものを、こんな形で、あなたの目にさらしていいとは思えないので」
「セイラン……。あなたはご存知なの? ヴィクトールの心の中に何があるか……」
「いいえ。僕は、ただ見て、感じ取るだけだ。彼自身が話さないのに、ずかずか踏み込む気もない」
「……そう」
 うつむくロザリアを前にして、セイランの水色の瞳が、きつい光を帯びた。
「あなたは、どうも彼の内面に立ち入りたいようだ。でも、それがどういうことなのか、理解してますか?」
「……どういう意味ですの?」
「彼の心の底に手を触れるには、それなりに覚悟がいるということです。だけど女王試験が終われば、僕ら教官がこの聖地にいる理由はないし、あなたとの関わりも一時的なものに過ぎない。……あなたのような人が、不用意に彼にやさしくするのは、こう言ってはなんですが、酷というものですよ」
 セイランの突きつける真実が、ロザリアの胸をえぐった。そこから広がるとう痛が全身を駆け巡り、彼女の身をぶるぶると慄わせた。涙が溢れ出すところを、ロザリアは気丈に耐えた。そして、彼女を刺し抜いた水色の瞳を、きっと見返した。
「……それでも、私は、できることなら、あの方と心を通わせたいのです。ともに過ごせる時間は、短くとも……。あの方と巡り会えた縁を……抱きしめたい……」
 ようやくこれだけの言葉を押し出すと、ロザリアはさっと踵を返し、部屋を出て行こうとした。その背に向かって、セイランは声を放った。
「では、あなたの想いを貫くといい。ヴィクトールは、今の時間なら、裏手の庭にいますよ」
 ロザリアは、びくんとなって、足を止めた。細い肩を、わなわなと震わせたが、ゆっくりと振り返った。こらえかねた涙を、白い頬に伝わらせながら、それでも蒼い瞳は、凛とした光を宿していた。
「……ご忠告に……感謝しますわ」
 前に進むこと恐れず、また与えられた機会に全力を傾ける覚悟が、そのたおやかな全身から、立ち上っていた。
 一瞬の蒼く気高い輝きに、圧倒されたセイランが、我に返った時には、ロザリアの姿は、もうなかった。セイランの肩からどっと力が抜けるのとともに、その口から太いため息が漏れた。
「ふう〜……。予想してないわけじゃなかったけど、お見事だったな。たおやかな薔薇のように見えて、中身は鋼鉄、いや宝玉、というところか」
 その強い意思の力に圧倒されたことは、むしろ清々しく思えたが。その中に、一点の苦みがあるのを、セイランは認めないわけには、いかなかった。
「これは、もしかして……嫉妬、というヤツかな。この僕に、そんな感情があったとはね」
 全身全霊で、他人に想いを傾けられるその生き方に? もしくは、一途に想われる、その人に? セイランは苦笑して、後者については、追究することをやめた。
「……僕も、ここに来た巡り合わせに、感謝するべき、かな」
 セイランは手にしたスケッチブックに、ふと目を落とした。
「……人間が描けるように、なったんだから……」
 セイランがたたずむ足下で、天頂を少し回った日光を受けて、床に落ちるス
テンドグラスの色は、より鮮やかさを増したようだった。


 セイランの室を出たロザリアは、人目につかない、落ち着ける場所を探した。ヴィクトールがいるという裏庭に、すぐに足を向ける勇気はなかった。千々に乱れる感情や、思考を整理しないまま、ヴィクトールには会いたくない。
 そんな思いで、建物の外に出ると、ふらふらと木立のなかに入り、緑濃い葉を茂らせている大木に、身を持たせかけた。
 さやさやと鳴る葉ずれと、微風が、次第にロザリアに落ち着きを取り戻させた。心の痛みのために、停止していた考えが巡り始める。
(……私の想いは……ヴィクトールを傷つけるだけなのかしら……?)
 教官選出の際に、ヴィクトールの経歴、実績など詳細な資料に、ロザリアは眼を通している。彼が経験した、大災害の中での悲劇も、その資料の中には、もれなく記載されていた。その過酷な情況を生き延びたという点が、彼が精神の教官に選ばれる理由の一つとなったことを、ロザリアは承知している。
 危難に際して、いかに行動するか、耐え抜くか。書物ではなく、経験した者でなければ語れない精神力を、彼ならば女王候補に伝えられるだろう、と。事実ヴィクトールは、その期待によく応えており、学習の成果も上がっている。女王をはじめ、首座の守護聖ジュリアスや、聖地の首脳陣を十分満足させるほどに。
 ロザリア自身も、そうした教官としてのヴィクトールを評価する側である。
 だが、そうした立場に関わりなく、包容力を感じさせる温かい人柄に、いつしか惹かれるようになった。
 ある日、自分を見つめるヴィクトールの眼の中にも、静かな熱がたたえられていることに気づいた時、密やかに恋は舞い降りたのだった。
 揺るぎない強い精神と、大地のような包容力。出会う前から今に至るまで、そうしたヴィクトール像を胸に育てて来たロザリアは、ここに来て気づいたのだ。……もしかしたら、自分はヴィクトールが過去を完全に乗り越えたものと、思い込んでいたのではないか、と。
 そしてセイランの言葉は、正しくその都合のよい思い込みを、突いていたのだ、と。
「……」
 恋に浮かれ、ヴィクトールの落ち着いたやさしさに甘えて、その心のうちを、苦しみを、慮ることを怠っていたと、思った。彼を大切に想うのなら、それこそもっとも大切なことであったのに。
 改めてセイランの言葉を思い返してみる。
『どういうことか、理解していますか』
『覚悟が要るってことですよ』
 そう問われた時に、乱れる感情のままに。自分はなんと答えたか……。
 ロザリアは、拳を強く握りしめた。……今冷静になって考えても、やはり答えは同じだった。むしろあの時、ショックの反動で、本音が噴き出したとも言える。
「……たとえ、ずっと傍にいられなくとも、今、ヴィクトールがここにいるのに、あきらめたりはしない。私たちの出会いを無駄にはさせないわ!」
 ロザリアは、もたれていた木から離れた。小さな手鏡を取り出し、髪の乱れを整え、ドレスのひだを直した。息を一つ大きく吸い込むと、歩き始めたかけがえのない想いのために……。


 柔らかな日差しが降り注ぐ裏庭で、ロザリアはすぐにヴィクトールを見つけた。緑の芝生にのびのびと身を横たえているその姿は、セイランのスケッチそのものだった。そのまどろみの邪魔をしないように、足音を忍ばせて、そっと近づくと、ロザリアはヴィクトールの傍らに腰を下ろした。
 日差しに暖められた芝生から、ぬくもりが這い登ってくる。気持ちよさそうな、その穏やかな寝顔を見つめるロザリアの胸は、つんと痛んだ。
 誰に対しても、気さくで温かく、そして困った時には手を差し伸べる、そんなヴィクトールが、心のうちに負っている傷は深く……。彼をいまだに苛んでいるのだろう。
 ロザリアは手を伸ばし、額に刻まれた傷跡を、そっと指先でなぞってみた。
(もし、叶うのならば……あなたのやさしさだけでなく、苦しみも分けてほしい……)
 と、その時、ヴィクトールのまぶたが開いた。
「あ、起こしてしまいました? すみません」
 ロザリアは慌てて、手を引っ込めた。ヴィクトールは、まだ目が覚めきっていない、焦点の合わない様子だったが、ロザリアの姿を、間近に認めると、にっこりと笑った。
「ロザリア様……いて下さったんですか」
 ヴィクトールはからだを起こすと、首を左右に振り、眠気を覚ますようにした。そして、ロザリアの方を向いて座り直した。
「すっかり眠ってしまったようだ。どうもお見苦しいところを、お目にかけました」
「いいえ」
 ロザリアは微笑んで、首を振った。そして、小さい声で付け加えた。
「……もっと見ていたかったですわ」
「え? ……いや、お恥ずかしい」
 ヴィクトールは照れたように笑ったが、次の瞬間、驚きに目をみはった。
「……ロザリア様?」
 そこから先の言葉を、ヴィクトールは失った。なぜなら、膝立ちになったロザリアが、彼の頭をそっと抱き寄せたからだ。ロザリアの唇がヴィクトールのこめかみをかすめ、髪に埋められる。すんなり伸びた白い首に、ちょうど顔が触れ、ヴィクトールは、そのかぐわしい肌のぬくもりに、息を詰めた。
 そうして、ロザリアのささやくような声を、ヴィクトールは聞いた。
「ねえ、あなたは、私に過ぎるほど、やさしくして下さるけれど……。私があなたに、してあげられることは、ありませんの? 私には、あなたの心に寄り添うことは……?」
 語尾が乱れた。熱いしずくが、ヴィクトールの髪の中に、染み通っていく。
「ロザリア様……」
 ヴィクトールは、胸の中に噴き出す思いのままに、ロザリアの細い腰を、しっかりと抱き寄せた。そうして自分も膝立ちになると、ロザリアの頬にそっと手を当て、上向かせた。涙が溜まった蒼い瞳を、近々と覗き込み、ゆっくりと言葉を押し出した。
「……あなたは、俺に十分与えて下さっている……。こうしてあなたの心とからだに触れていると、俺の中で冷たく固くしこっていたものが、溶け出していくように思える……。それは、あなただけが、できることなんだ……」
 ロザリアの唇がわななく。
「……ほんとうに?」
 ヴィクトールは、深く頷いた。
「……あなただけだ……」
「ヴィクトー……」
 名前を最後まで言い終わらないうちに、ロザリアの唇は、ヴィクトールのそれで塞がれた。
(あ……)
 重ねられた唇から、からだが折れそうなぐらい強く自分を抱き締める腕から、ロザリアは、ヴィクトールの熱情を感じ取った。他の誰でもない、彼女だけに注がれる熱情を。
 ヴィクトールの堅く、大きなからだを、精いっぱい受け止めながら。ロザリアは気の遠くなるような酩酊とともに、確信した。 “この人は、私を愛しているのだ”と。


 それから、やさしい言葉のやりとりがあったような気がする。はっきり覚えていないのは、熱にのぼせたようになってしまったからだ。自分がどうやって、この執務室に戻って来たのかも、あまり覚えていない。
 ロザリアは、そっと指で、自分の唇に触れてみた。初めての口づけの感触が、まだ残っている気がする。ロザリアには、それがヴィクトールが自分にくれた、彼の心への鍵とも思えた。
 二人がともに過ごせる時間は、いつか終わりを告げる。だが、いつか別れの日が来るとしても、魂がふれあい、響きあった瞬間は。永遠に輝き続ける……。ロザリアは、今はそう確信することができた。
(そうでしょう、ヴィクトール?)
 ロザリアは、そっと心の中でささやいた。ヴィクトールが大きく頷くのが見える気がした。
(もちろんですとも、ロザリア様)
 と、甘い追想を破るかのように、ノックの音が響き渡った。
「補佐官様、ちょっと宜しいでしょうか」
 女性職員の事務的な口調は、ロザリアを現実へと引き戻した。
「どうぞ、お入りなさい」
「失礼致します」
 ドアを開けて入った女性職員が見たのは、いつも通りの有能な補佐官の姿だった。
「用件は、何かしら?」
「はい、こちらなのですが……」 
 部屋に入って来た女性職員は、極めて散文的な文書や、表を並べてみせた。その仕事に意識を集中させつつ、ロザリアは思った。
 ヴィクトールもまた、今頃学芸館の執務室で、自分のやるべき仕事に、全力を注いでいることだろう。微笑みが、ふと浮かぶ。
「補佐官様?」
 女性職員に呼ばれて、ロザリアははっとした。
「ごめんなさい、どこだったかしら?」
「いえ、そうじゃありません」
 女性職員は、にっこりした。
「とてもおきれいな笑顔だったので、つい見とれてしまいました。何か、いいことがおありでしたか」
「まあ、何を言ってるの」
 ロザリアは、頬を赤らめた。
「そんなことより、ここは、どうなっているの?」
「あ、はい、その箇所は……」
 この女性職員にかぎらず、ロザリアのまとう空気の色が、少し変わり始めたことを、やがて彼女に接するすべての者が感じ取ることだろう。潮が変わり始めた。そして、二人の思いも、また……。
                           (終わり)



セイランは、確かSP2の夜の庭園イベントで「人物は描かない」と言ってました。スケッチまで含まれるのかどうかはわかりませんが^^; そこが気になって、書き直しかけたら、話が別方向に行きかけたので、もとに戻しました。
ううっ、芸術家はやっぱりムズカシイ!

そしてそして、何とかチュウまでこぎ着けました。
もう少し先へ進む方向も書きかけたのですが、トーンが変わるので、それもやめました。(ボツにしたプロットはストックして、いずれリサイクル。Mottainai~)
次回は、もう少しまとまりのいいものに仕上げたいものです……orz
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ぎゃあああ!遂にちゅうキターーーーーーー!(感涙)

こんばんは、コマツバラさん!コマツバラさんのヴィクロザを初めて拝見した時からずっとずぅっとお待ちしておりました~~~!!!!
いやん!ロザがヴィクにメロメロ!だけどその甘さよりも覚悟を必要とする恋であることを何気なく諭すセイランが心憎いほどのではないですか!
そうですよねー。私は長くなるので(そうでなくても十分長すぎたので)詳細は省きましたが、ヴィクが自分の過去とどう向き合い越えた(もしくは越えていく)か、彼の人柄においても興味深い点ではありますよね。ヴィクのことだからこれを乗り越えない限り恋愛に溺れるなんてことはありえない。だからこそ、後に離れ離れになる事実よりもロザリアにとって大きい壁だったのかもしれませんねー。くぅ~!そう考えたらまた一段とロザが愛しいです!健気です!可愛いです!
“この人は、私を愛しているのだ”
この確信こそが何より必要だったんだろうなって…!(号泣)

いやあ、毎度うるさく語って申し訳ありません(全くだ)
女王試験が終わり、別れ、再会し、そして遂には異なる宇宙の住人となる。はあ~!今日こちらのお話前提であれこれ妄想すると切ないやら萌えるやらで(笑)ドキドキしまくりです!
素敵なお話ありがとうございました~!!!(愛)

ののん 2009/03/07(Sat)19:14:45 編集
そこから先
ちゅうまで行くのに、どんだけかかってるんだ! って
感じですよね(笑)
ヴィクトールとロザリアの場合、いずれ別れが来ることが
前提になっている出会い方なので、双方ともに覚悟が要る
だろうなと思います。(ヴィクトール、エトワール以前は、
一般人ですからね)

今回書いていて思いました。じれったいのも好きだけど、
恋する乙女は、心身ともに艶やかになるものですから、
そこから先もやはり……と^^
まあ、あんまり濃ゆくはできないと思いますが、
生温かく見守ってやって下さい。
ご感想、ありがとうございました^^
コマツバラ 2009/03/08(Sun)00:25:50 編集
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